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「建築物省エネ法」が2016年4月から施行!住宅にどんなメリットが?

2016年4月から「建築物省エネ法」が施行されました。建築物にこれまで以上の省エネ性能が必要になり、CO2排出量の削減がいっそう求められています。もちろん、オフィスビルだけでなく、私たちが住むマンションや戸建住宅についても省エネ性能を高めることが課題になっています。今回は建築物省エネ法と、これから期待される省エネ住宅のメリットについてご紹介します。

 

<「建築物省エネ法」その内容とは?>
「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」は、通称で「建築物省エネ法」と呼ばれ、2016年4月1日に一部施行されました。床面積2,000㎡以上の大規模な非住宅建築物(特定建築物)については、新築時に一定のエネルギー消費性能を確保することや、それを証明するための適合性判定などが義務化されます。これは主にオフィスビルや商業ビル、ホテルなどが対象です。また、床面積300㎡以上の中規模建築物については、新築時に省エネ計画の届け出が必要になります。これはオフィスビルのほか、マンションなどの集合住宅も対象です。なぜ、こうした制度が実施されるのでしょうか。

日本ではオフィスや住宅などのエネルギー消費量の削減が課題になっています。日本のエネルギー消費量を部門別にみると、オフィスや商業ビルなどの業務部門とマンションや戸建住宅などの家庭部門を合わせた「民生部門」が、全体の3分の1を占めています。残りの3分の2は工場や運輸などの「産業部門」ですが、こちらは企業努力や技術革新によって、エネルギー消費量の削減が進んでいます。民生部門のエネルギー消費量が増える傾向にあるため、オフィスビルや住宅におけるCO2排出量の削減が課題になっているのです。

環境省の調査によると、日頃から節電などの省エネを心がけている家庭では、平均してCO2排出量を約3割削減できている計算になるそうです。住宅そのものの省エネ性能を高めたり、住む人の心がけによって、エネルギー消費量は大きく削減できるということです。

 

<省エネ住宅のすすめ!私たちへのメリットは?>
エネルギー消費量を削減すると、私たちの生活にどんなメリットがあるのでしょうか?

●経済面のメリット
省エネ性能の高い住宅は、新築時のコストが高くなってしまいます。また、省エネ性能を高めるためのリフォームもそれなりの費用がかかります。確かに初期費用はかかりますが、結果的に光熱費の負担を削減することができます。さらに、太陽光発電装置を設置することで、光熱費が減るだけでなく、余った電力を電力会社に売電し、収入を得ることも可能です。長期的にみれば得になり、省エネ性能の高さが評価されることで、住宅の資産価値の向上も期待できます。

●機能面のメリット
住宅の省エネ性能を上げるには、断熱性や気密性を高める必要があります。結露による木材などの腐朽や建材の劣化が抑制されるため、その結果建物が頑丈になり、耐久性や遮音性が向上するなどの嬉しい効果もあります。また、省エネ性能を高めることで室内の温度が一定になり、急激な温度差によって引き起こされるヒートショックや心筋梗塞、脳卒中などが起こりにくくなります。外部のアレルギー物質やウイルスなども遮断できるので、ぜん息や花粉症などの病気になりにくく、健康面でのメリットも期待されています。

 

<どこまでできる?省エネ住宅の工夫>
住宅からのCO2排出量の内訳をみると照明・家電が47%、冷暖房が22%と、この2つで約7割を占めます。省エネ性能を高めるためには、この2つのCO2排出量を削減することが大切です。

●断熱材
省エネ性能を高めるためには、まず外壁や床、天井などの外気に接している部分に断熱材を厚く敷きつめる必要があります。建物全体を断熱材ですっぽり覆う外断熱、戸建住宅の場合は外張り断熱が効果的といわれています。

●開口部
特に重要なのが、窓の省エネです。室内の熱は、窓などの開口部から半分ほど失われるといわれています。二重サッシやエコガラスなどにして、熱が逃げるのを防ぎましょう。見逃しがちなのが、キッチンのレンジフードです。レンジフードから熱が逃げるのを防ぐには、同時給排気型のレンジフードをオススメします。これは、室内に空気を給気する際に調理の熱を利用することで、排気で失われた熱を補うことができるので、省エネ効果がより大きくなります。

そのほかにもLED照明、省エネ家電や家庭用エネルギー管理システム(HEMS)で省エネ性能を進め、さらに太陽光発電などの創エネ設備を組み合わせるといっそう効果的です。

 

<省エネ住宅の進化を楽しむ>
住宅の省エネ性能を高めるために各種設備を設置しようとすると、それなりのコストがかかります。最初からすべてを導入するのが難しければ、できるところから少しずつ取り組んでいってはいかがでしょうか。設備や機能は日々進化しているので、5年後、10年後には今より格段に性能が高い設備が開発されているでしょう。省エネ住宅の進化を楽しみながら、より快適で経済性の高い生活を心がけることで、住まいの資産価値の維持にもつながるのではないでしょうか。