
将来を見越した家選び!介護を考えたバリアフリーのすすめ
家探しに欠かせないのが、将来を見越した長期的な視点です。子供の成長、年老いた両親の介護はもちろん、自分自身も、いつ病気や事故などで不自由な生活を余儀なくされるかわかりません。最近では、高齢化社会の進行に伴い、バリアフリーを念頭に置いて家探しをされる方もいます。そこで今回は、バリアフリー住宅のメリットや選び方をご紹介します。
<バリアフリーとは?>
「バリアフリー」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、具体的にどのような意味かご存じでしょうか?これは、障害のある方が生活しやすいように「バリア(障壁)をフリー(取り除く)にすること」です。車椅子を使用されている方であれば、階段や段差があると、自分の力では前に進めません。そこでエレベーターやスロープを設置することで、誰かの力を借りなくても、自立した生活が送れるようになります。
また、年を重ねるにつれて、音が聞き取りづらくなったり、文字が見えにくくなりますが、それを調整する眼鏡や補聴器の使用も、バリアフリーの一つです。
近年バリアフリーという言葉は、建築物や公共交通機関における段差や障壁をなくすという「物理的」な意味から、偏見や差別による「心理的」なバリア、社会参加の障壁となる「制度的」「社会的」なバリアに対するものまで、より広い意味で用いられるようになっています。
<今から「バリアフリー」を選ぶメリット>
日本の65歳以上の人口は2013年に総人口の4分の1を超え、2025年には3割を超えると推測されています。たとえ今は、お年寄りに縁のない世帯であっても、超高齢化社会の波はすべての家庭に押し寄せます。現在は全く気にならない少しの段差であっても、将来、生活する上で問題になる可能性は十分あります。
<バリアフリーの家選び>
バリアフリーを住宅に取り入れる方法はさまざまです。バリアフリーがすでに施された住宅の購入や業者によるリフォームだけでなく、自分でDIYを行う方法もあります。敷居や床の段差をフラットにするミニスロープであれば、DIYでも簡単に設置することができます。業者に依頼する場合には、段差の解消、手すりの設置、ドアを引き戸に変更するという小規模なリフォームから、廊下の拡大や水回りの移動、ホームエレベーターの設置という大規模なものまで種類は多岐にわたり、費用も幅が広くなっています。では、どのような点に注目をしてバリアフリーを施せば良いのでしょうか。不要なリフォームを避けるためにも、下記のポイントを確認しましょう。
●段差のないフラットな空間
住宅は構造上の問題により、玄関やアプローチ、部屋の境など、どうしても段差が生じてしまう箇所があります。そのため必要に応じてスロープを設置したり、室内の段差には床下の構造材を調整したりするなどの工夫が必要になります。また、階段を設置する場合には、急な勾配は危険になるため、蹴上げ(階段の一段の高さ)18cm、踏み面24cm程度のゆるやかな勾配を意識しましょう。
●手すりの設置
玄関やトイレ、浴室など、立ったり座ったりする場所には、手すりを設置しましょう。転倒事故を防ぐためには、階段や廊下も重要です。利き手を考えると、両側に設置することが理想です。
●広さを十分にとる
車椅子での生活になった場合、玄関や廊下の広さが問題になります。一般的に、車椅子で生活を過ごす際に必要な幅は85cm以上です。玄関や廊下で車椅子を回転させるスペースを考えれば「150cm×150cm」くらいの広さを確保しておきましょう。
●引き戸の設置
手前に引くタイプのドアは、後ろに下がらなければならないため車椅子生活には非常に不便です。そのため開閉に力がいらず使いやすい引き戸は、欠かせない項目です。万が一、トイレなどで倒れた場合でも救出が容易になるというメリットもあります。
●低床式の安全な浴室
浴槽は、またぐことの負担を考えると、高すぎないことが大切です。床からの高さは、40~45cm程度に抑えた、半埋め込み式がおすすめです。また、バスタブの縁が幅広になっていると、一度縁に腰をかけ湯船へ出入りしやすくなります。そして、転倒を防ぐために床の滑り止めがあるとなお良いでしょう。
●温度差のない空間
急激な温度差は心臓に大きな負担がかかります。浴室は特に温度差が激しく、脳卒中や心筋梗塞などヒートショックを引き起こしてしまう危険な場所です。家全体の暖房だけでなく、トイレや洗面所にも個別で暖房を設置するなど、家の中での温度差をなくすための対策が必要です。
<バリアフリーの大切さ>
今は何の不便も感じていなくても、人間は必ず老いていきます。「自分たちは大丈夫」「事故などめったに起きない」と過信せずに、”いざ”という時のためにバリアフリー対策を検討しておくことが大切です。小さな子供から妊婦、お年寄りまで、生活に潜む危険を最小限に抑えてくれるバリアフリー住宅。購入やリフォームを控えている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。