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歴史と浪漫の「横浜三塔物語」キング・クイーン・ジャックとは?

大正・昭和初期から現在まで、横浜のシンボルとしてたたずむ「神奈川県庁本庁舎」「横浜税関」「横浜市開港記念会館」。キング・クイーン・ジャックの愛称で、地元の人たちや観光客から、今なお愛され続けています。今回は、歴史浪漫にあふれる、魅力たっぷりの横浜三塔の歴史と見どころを紹介していきます。横浜の街で歴史散策を楽しんでみませんか。

<横浜三塔物語とは?>
美しい港町に悠然とそびえ立つ3つの歴史的建造物。「キング」「クイーン」「ジャック」のそれぞれの愛称は、当時横浜港に入港していた外国船員がトランプのカードにその造形をなぞらえたことが発端といわれています。船員たちは、船上から三塔を入港の目印としていたとされていますが、陸上から同時に見渡せるスポットは限られています。

「横浜三塔物語」とは、三塔を同時に見渡せる日本大通り・横浜赤レンガパーク・大さん橋国際客船ターミナルの3つのスポットを一日で全て巡ることができれば、願いが叶うという伝説のことです。三塔が震災や戦争などの苦難を乗り越えて現存していることから、困難に打ち勝って願いが叶う、またカップルが結ばれるともいわれています。毎年3月10日は、「三塔の日」として横浜三塔物語にちなんだイベントが開催されています。

<和洋折衷が荘厳。キングの塔「神奈川県庁本庁舎」>
王冠のような塔屋と、歴史の風格漂う外観はまさにキング。日没後は22時までライトアップや時期によっては3Dプロジェクションマッピング(建物などに映写機器で映像を映し出す技術)も楽しめる観光名所です。
「キングの塔」こと神奈川県庁本庁舎は、関東大震災で建て替えられた1928年以来、今なお現役の庁舎として健在しています。その歴史の長さは、大阪府庁本館に次ぐ全国2番目となっており、1996年には神奈川県初の有形文化財として国に登録されました。

五重の塔をイメージして設計されたスクラッチタイルの帝冠様式と、重厚な大理石を用いて幾何学的に装飾された外観は、和洋が見事に調和し、独特の風格をたずさえています。月曜日から金曜日の8:30から17:15までは歴史展示室と屋上展望台は自由に見学可能(※祝日及び年末年始は見学不可)で、本庁舎公開時に見学できる知事室や大会議場などもクラシカルでモダンな内装が見ごたえ十分です。

<エキゾチックな魅力!クイーンの塔「横浜税関」>
国際色豊かな横浜で世界のエントランスとしての役割をもつ横浜税関。丸みのあるフォルムとベージュの磁器タイルが、クイーンの品格と優しさを醸し出しています。

1934年、失業者救済のための土木事業を兼ねて建設された三代目横浜税関庁舎が「クイーンの塔」。5階建てでイスラム寺院風の特徴的な緑青色のドーム屋根と西欧建築様式が混在したエキゾチックなつくりになっています。一文字葺きの銅板屋根は数十年の歳月を経て、元来の赤銅色から現在の緑色へ変化したといわれています。円柱がかたどる品格のあるアーチ構造や正面玄関にある市松模様の床など、世界のエントランスである税関らしく国際色豊かで優雅な建造物になっています。

高さは横浜三塔の中で最も高い51m。すでに建設されていた神奈川県庁(49m)を意識して、当初の設計予定よりも高く設計しなおしたというエピソードがあります。

<大正の赤レンガ建築!ジャックの塔「横浜市開港記念会館」>
結婚式やコンサートなど幅広く市民に愛されるジャックの塔。レトロな外観と独創的なステンドグラスは一見の価値ありです。

「ジャックの塔」と呼ばれている横浜市開港記念会館は、三塔の中で最も古い1917年に竣工されました。横浜港開港50周年記念として、市民の寄付金と公募によるデザインで創建されて以来、赤レンガと白い花崗岩を用いた風合いのある時計塔は横浜のシンボルとして広く知られています。関東大震災後に復元された内部のステンドグラスの独創的で精巧なつくりは歴史的にも非常に価値が高く、国の重要文化財にも指定されています。

1959年より公会堂として利用されるようになり、コンサートや結婚式など特別な機会に利用される会場として、長きに渡り市民に親しまれています。

<歴史をくぐりぬけて今も輝く横浜三塔>
その昔、船乗りたちが航海の無事を祈願したといわれる横浜の三つの塔。時代を超えて現在は、「横浜三塔物語」として横浜観光のPRの役目を果たしています。港町の歴史を感じるその唯一無二で優雅なたたずまいは、横浜を代表する建造物として市民にも観光客にも愛され続けています。横浜の歴史と魅力を堪能しながら3つのスポットを巡って、お願い事をしてみてはいかがでしょうか。