
耐震リフォームで我が家を守る!突然の揺れにも慌てない家づくり
日本は地震大国。全国どこにいても、大地震のリスクは常に付きまといます。特に、2011年の東日本大震災以降、住宅の耐震性への関心が高まっています。いざ大地震に見舞われたとき、果たして自分の家は大切な家族を守ることができるのか――。そう考えて、耐震リフォームを行う人も多いのではないでしょうか?今回は、耐震リフォームを行う際のポイントと、お得な助成金制度についてお伝えします。
<我が家は大丈夫?住まいの耐震性をセルフチェック>
「耐震診断」ってプロにしかできないものだと思っていませんか?実は私たち素人でも簡単にできる耐震性チェックが存在します。以下の項目に該当したら要注意です。
☑家を建てたのは1981年5月以前だ
1981年に新耐震設計法が改正され、耐震性がより厳しいものに変更されました。実際に、1995年の阪神淡路大震災の際にも1981年以降の建築物については、逃げる猶予もなく倒壊、大破したという報告はされていません。それ以前に建てられた建物は、耐震基準を十分に満たしていないものが少なくありません。
☑過去に浸水や地震などの災害に遭遇した
長い年月の中で、自宅が床下・床上浸水、火災、地震、裏山の崩落などの災害に遭遇していませんか?外見的にはわずかな損傷に留まったように見えても、軽微な修復しか施していない場合は要注意です。外には表れていないダメージが蓄積していることが多いため、専門家への調査を依頼しましょう。
☑増改築をしている
「増改築」=「家の補強」とは限りません。もちろん増改築時に、既存部と増築部分で適切な改修・補修が施され、きちんと接合されていれば大丈夫です。しかし、この接合部がしっかりと固定されていない場合、建築物にとって大きな弱点となっていまいます。何度も増改築を繰り返していたり、壁や柱の一部撤去を行っている場合には、増改築された部分がしっかり接合されているかどうか確認する必要があります。
☑老朽化やシロアリ被害がある
雨漏りや腐敗箇所の確認も重要です。壁や天井に変色が起こっていないか、シロアリが出入りしている箇所はないのか、建物全体を見渡してみてください。軒先が波打っていたり、建具の立て付けが悪化して柱や床が傾いたりしていませんか?特に水回りは腐敗しやすいので、入念に確認をしましょう。
☑4メートル以上の吹き抜けがある
生活に開放感をもたらしてくれる吹き抜け。しかし、大きな吹き抜けがあることは、地震の際に建物がゆがんでしまう原因にもなります。小規模な吹き抜けであれば問題ありませんが、一辺が4mを超えるものは要注意です。
☑鉄筋コンクリートの布基礎、ベタ基礎、杭基礎以外の基礎
基礎とは、建物を支える、最下部の構造のことです。同じ地盤に立っていても、他の基礎より丈夫なのが、鉄筋コンクリートの布基礎(逆T字型の基礎)・ベタ基礎(床下に入れる、板型の基礎)・杭基礎(地中深くまで杭を入れたもの)の3種類です。そのため、それ以外の基礎で住宅を支えている場合には、基礎の種別を見直す必要があります。心配であれば、基礎から全面リフォームすることをオススメします。
<耐震リフォームで見直したい3つのポイント!>
地震での倒壊を防ぐために見直しておきたい点と、耐震リフォームのポイントについてご紹介します。
●ポイント1「壁」
まずは、構造的な釣り合いが取れているのかというバランスの問題です。リビングなどの広い空間は、壁が少ないため耐震性が低い傾向があります。間口を広く確保し過ぎたせいで、地震の際に大きな被害を呼び込む例も少なくありません。そのため、構造に合った耐震壁の量を計算(各階床面積×建物によって決められた壁係数)し、建築基準法に定められている数値に達するよう、耐震壁を設置する必要があります。
●ポイント2「接合部」
柱や梁が丈夫でも、接合部が外れてしまえば大きなダメージをもたらします。大地震の際に起こる被害の多くは、構造材の接合部が外れてしまうことが要因です。被害を最小限に抑えるためには、「筋交いプレート」や「アンカーボルト」など専用の金具でしっかりと固定し、各部材の抜け・外れを防ぐことが大切です。
●ポイント3「基礎」
基礎に問題があると、地震などに見舞われなくても沈下が生じる危険性が出てきます。そのため実測調査などで、底盤が家全体の重さを支えられるほど十分な大きさであるか、地盤の耐力を明確にしておく必要があります。ここは重要な部分であるため、底盤の大きさや基礎に使用する鉄筋量、地中に埋める深さまで法律で細かく定められています。法律上の数値に違反していないかどうか、確認しておきましょう。
<活用しよう!耐震補強の助成金制度>
耐震リフォームを行う際に気になる点の一つは、費用です。補強箇所や補強内容など、工事の規模によりバラツキがあるものの、平均すると120万円程度かかります。断熱工事や結露防止工事などの「構造に関するリフォーム」ではなく、「屋根の軽量化」「基礎の補強」といった「耐震補強工事」のみの場合は、50万円から最大でも100万円程度で可能なケースがほとんどです。
耐震リフォームを行う際にぜひ利用したいのが、自治体の助成金制度です。1995年より施行され、建物の地震対策を促進する「耐震改修促進法」を受けて、耐震対策の援助や補助を設ける自治体が増えています。例えば横浜市では、所得に応じて225万円を上限に補助金を実施しています(2016年3月現在)。補助金制度だけでなく、低金利での融資を行う自治体もあり、いま一度、自分の住む地域の助成金制度を確認してみましょう。自治体によって、金額だけではなく、対象となる住宅や工事が異なります。
<他人事じゃない!震災に備えて、しっかりとした準備を>
地震などの自然災害はいつ起きてもおかしくありません。しかし、耐震性に優れた住宅であれば、被害は最小限に抑えられます。反対に「古い家だから、今さら耐震リフォームをしても意味がない」「新築だから大丈夫」といった思い込みが大きな被害につながることもあります。耐震性のチェックを行い、不安があるなら、低予算で強い家を生み出す耐震リフォームを実施しましょう。