家を開く「住み開き」とは?新しいコミュニティの形に注目!
空き家や空き部屋の新たな活用法として、「住み開き」が注目されています。住み開きとは、「住み」家を「開く」、つまり住宅の一部を開放するという意味の造語です。住み開きには、趣味の教室を開いたり、地域交流の場として活用するケースなど、さまざまなタイプがあります。今回は、多様に進化し続ける住み開きについてお伝えします。
<住み開きって何?>
住み開きとは、本来プライベートなスペースである自宅の一部を開放し、カフェやギャラリーなどコミュニケーションの場として公共化することです。そもそも住み開きには明確な定義はなく、表現活動の一環として始まりました。「リビングを週末限定カフェとして開放し、趣味のコーヒーをみんなに振る舞いたい」「子どもが独立して空いた部屋を使って、得意な裁縫教室を始めたい」「空き家をDIYして仲間とシェアし、一室をイベントスペースにしてワイワイ楽しみたい」など、自分の「好き」を活用して、住宅の一部に外部の人と交流できる空間を設けたのが住み開きです。
住み開きは、シェアハウスのように生活を丸ごと他人と共有することではありません。自宅の一部だけを開放したり、週1日だけ開くなど、プライベートな部分はキープしつつ自分のペースで他者とのつながりを持つことができます。アイデア次第で誰でも気軽に始められるため、世代を問わずたくさんの人が住み開きの活動を行っています。
<新しいコミュニケーションの場!住み開きのススメ>
住み開きによって生まれる人とのつながりは、自分だけでなく地域社会にも変化をもたらすことがあります。新しいお店や活動を始めるためには、店舗になる物件を探したり、レンタルできるスペースを探す必要がありますが、住み開きの場合は自宅を活用するので新たにスペースを確保しなくて済み、場所代もほとんどかかりません。そのため、趣味や特技を活かして副収入を得たいという人、地域交流や人脈づくりをしたい人などさまざまなケースで、住み開きが活用されています。
また、住み開きによって地域の交流が盛んになると街の活性化につながります。実際に、地方の小さな町が住み開きによって活性化され、街おこしにつながった例も数多くあります。自宅の一部を開くことで気軽に始めることができ、新たな出会いや発見をたくさん得られる住み開き。多くの人が集う交流の場として地域に貢献することができれば、充実感や達成感を味わうことができるでしょう。
<形式・内容は自由!住み開きの活用例>
全国各地で活動している住み開き実践者の事例から、魅力的な活用例の一部をご紹介します。
●「要町あさやけ子ども食堂(東京都豊島区)」
月2回、2階建ての一軒家を開放して開かれている「要町あさやけ子ども食堂」は、子どもが一人で入ることができるオープンな食堂です。1食300円で、栄養たっぷりの温かい晩ご飯を食べることができます。ボランティアで手伝いに来る人も一緒に食卓を囲み、賑やかなひと時を過ごせるので、子どもたちのお腹を満たすだけでなく心の支えにもなっています。
●「泉北グループ・スコーレ(大阪府堺市)」
20年前から住み開きをしている、「泉北グループ・スコーレ」。自宅で開いていた学習塾を閉めて新たにスタートさせたのが、自分の得意なことを活かして先生となり講座を行う自宅開放講座です。互いに教え、学び合いながら集える場所があることで、ハリのある生活を楽しむことができます。現在、パッチワークや俳句など約60もの自宅講座が開かれており、280人近くのメンバーが活動しています。助成金を受け取らずにバザーを開いて自分たちで活動資金を稼いで運営しており、地域に根差した活動はメンバー同士で助け合える、セーフティネットの役割も果たしています。
<人と人とのつながりが持つ、「住み開き」の可能性>
地域の活性化や街おこしなどはあくまで副産物であって、住み開きの根本にあるのは「自分のできることで少しだけ誰かの役に立ちたい」という気持ちです。自分の好きなことや得意なことを活かして人に喜んでもらえたら嬉しいものです。興味のある人は、実際に住み開きを始めたり、身近な住み開きの活動に参加してみてはいかがでしょうか。新たな仲間との楽しい時間が待っているかもしれません。