マンションにも寿命が!?知っておきたい耐用年数
マンションでの生活を考えたことはありますか?
現在、購入を検討されている方や、将来住みたいと考えている方も多いはず。購入するにあたって気になるのは、マンションの寿命です。だいたい何年ぐらいもつと言われているのか。どれくらい住み続けられるのか。今回は、マンションの耐用年数についてご紹介します。
1.税務上の耐用年数は47年?
従来、60年とされてきたマンションの寿命。
しかし1998年に行われた税制改正によって、鉄筋コンクリート造りの建物の法定耐用年数は47年に短縮されました。
●法定耐用年数とは?
そもそも税務上の法定耐用年数とは、減価償却費を算出するための数値になります。
減価償却費とは、マンションの価値を表すために用いる指標で、マンションの築年数に見合った資産価値を表現できるように作られたものです。そのため耐用年数が来てしまったからと言って、住めなくなってしまうわけではありません。
●修繕やリフォームで耐用年数は延びる?
修繕やリフォームにより適切なメンテナンスが行われていれば、耐用年数は延長されるのでしょうか?もちろん室内設備の見直しを図ることで建物の価値は向上します。
しかし、いくら設備の補修やリフォームを行っても建物全体の基礎の性能や、骨組部分などの品質は、時間の経過と共に低下していくと考えられるため耐用年数は延長されません。もちろん、正しいメンテナンスが行われることで、物件自体の寿命は延長されます。
2.これまでのマンションの寿命が短い理由
マンションの寿命がどれくらいか想像してみてください。
国土交通省によれば、鉄筋コンクリートによる建築物の寿命は117年と推定されています。
しかし、実際には築30年程度で大規模な修繕やで建て替えを行うマンションがほとんどです。
どうして100年以上も持つ建物が、たった30年で建て替えられるのか?その理由を2つの視点から解説します。
●構造上の問題
構造を理解する上で、最も重要になってくるのが耐震基準です。
旧耐震基準(1981年(昭和56年)6月1日以前に施工された建築物)に基づいて建設されたもののうち、約8割にも及ぶ建築物に耐震性が備わっていないとされています。
耐震性が備わっていない建築物の中で、耐震補強工事を実施できるのは約1割。
「築30年で建て替えられてしまう」というよりは「建て替えざるを得ない」という説明が正しくなる場合もあります。
●維持管理上の問題
マンションの寿命に大きな影響を与えるのが、維持管理や修繕の問題です。
近年になってから建築された物件であれば、長期修繕計画書が作成されており、修繕計画に合わせた積み立てを行っています。
古いマンションの中には長期修繕計画が存在しないマンションもあります。従来では、劣化が目立ち始め不具合が発生してから、修繕を施していました。そうなると各戸への修繕費の一括徴収の負担が大きく、修繕を施せない物件もありました。
また、現代の様に、リノベーションやリフォームによって中古住宅に長く住み続けるよりも、いちから建て替えすることを勧める風潮があったことも、寿命が短かったひとつの要因として挙げられます。
3.これからのマンションの寿命は?
構造・維持管理上などの多くの問題から、約30年という短期間となっていたこれまでのマンション寿命。現在では、築30年を超える中古マンションの取り引きも目立っています。
そこで気になるのが、マンションの寿命はこの先延びていくのか?という疑問です。
最近の研究結果が示す「マンション寿命60年」の根拠を、技術や品質向上の観点から解説します。
●イノベーション
住宅を長寿にさせた要因の1つはイノベーションです。
イノベーションとは、使用する材料の良質化や施工技術そのものの進歩です。耐久性や耐震性を高め、性能を上げることで建物自体に付加価値をつけます。
●コンクリートの技術開発
1990年代には、耐用年数60年とされていた鉄筋コンクリートも、2000年を超えた辺りから耐用年数100年とも称されるようになりました。
現在、大手ゼネコンでは、500年コンクリートの開発・施工も実績化されています。
4.技術とともに発展するマンション寿命
品質や技術の問題だけではなく、構造や管理維持などの要因が複雑に絡み合い、マンションの寿命を縮めていました。けれども、コンクリートや施工技術の更なる進歩で、マンション寿命は大きく伸びて行くと予想されます。
マンション寿命が大きく伸びることで、「30年後のライフスタイルに合わせた間取りや設備が、現在の段階で実現できるのか?」という点が気になるのではないでしょうか。
現在では、リフォームやリノベーションにより手を加えやすいように、スケルトン・インフィルと呼ばれる、設備の取り外し可能な工法を取り入れるなど、寿命に見合った快適性の追求が行われている物件もあります。
このように、マンションの寿命や快適性は日々の技術進歩とともに延びているといえます。